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TOPページ > DCSのクラフトマンシップ > 理想の光を求めて
 
機能、徹底した設計と検証
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どこからみても光源が見えない設計のEnigmaの考えはMistyへ継承されている。
  「結局光の機能から形が生まれてくるんですね。」と内山氏。生活シーンを敏感に捕らえる氏のこだわりとは。

Q: 先生の作品には間接照明が取り込まれていますが、その考え方は今お話頂いたようなところから来ているんですね。ところで、今質の高い光というお話がありましたがそういった、光の表情で気を使われている部分についてお聞かせください。

内山氏: このペンダント(Enigma425)もそうなんですけど、このペンダントはダイクロイックハロゲン(※5)というスポットライトでも眩しい光源を使っているんですね。それをそのまんま使うとものすごく眩しいから見えないようにしてあるということと、たとえば、このテーブル面、(実際に照明を操作頂いてレクチャー)ふつうは光ムラができるのだが、ランプからの光がシェードの内側にぶつかって全くムラのない光が出るんですよ。


それで、そういうことを計算して、質の高い光でもって十分な明るさがとれて明るさが取れて眩しくない、難しいことなんですけど。それを実現しないといけない。そういう部分を考えてある。

Q: この照明(Enigma425)のような形を考えるときは、どのようなプロセスを踏まれるのでしょうか?

内山氏: 結局光の機能から形が生まれてくるんですね。この形がどうして生まれたかいうと(人が)立った時に器具にぶつからない、風が吹いたときに流れて揺れない、簡単にはずして洗えるとか、人が頭をぶつけたときに顔に傷がつかない、よくガラスでぶつけて顔を傷つけるひとがいるが、そういうことがないように。そういうことを全部考えて、また、パタパタとたためる。だから1500gしかない。世界中に輸出しているが、薄い箱で輸出できる。

Mistyも同じような考えです。いわゆる、簡単に拭けて、光が部屋中に拡散するんだけれど調光で絞ってベットサイドなんかでも使える。日本て部屋が狭いですよね。置く場所がないですよね。どんな小さい場所でもちょっと置ける。ヨーロッパだと大きいスタンドが置けるが、日本ってテーブルがないんですよ。そもそも。それでもやっぱりよい質の光を置きたいとなると、ベース(器具の底面)が小さくないと置けない。これは最小のスペースでちょっと本箱の横でもどこでもすっと置ける。それで部屋中に明るさが取れて、こういう状態(Mistyを点灯、調光器で明るくする)で部屋中に明るさが取れる。


なおかつ、ここで調光して(調光器で明るくする)寝るときにこんな感じで使うこともできる。スペース的にはわずかこのくらいのスペースで、それでメンテナンスは簡単にすぐ洗える。で、熱がこもらない、これ(Misty)はこれ(Enigma425)と同じ考え方です。

だから、これも(Enigma425)熱がここ(上部)から流れて対流で上に来ますから熱さを全く感じないんです。普通の照明器具ってとても熱いんです。
ここ(テーブル面)で700〜800lx出すというと、拡散球の普通電球だと大体200〜300Wつけないと明るくならない。これは65Wの電球一個で十分明るい。調光できればよりよいですね。

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どんな小さい場所にもおけるMisty(ミスティ)は日本の住宅事情を考慮して作られた。

Q: 機能的な考え方においては、MistyもEnigmaも同じように考えて作られているということですね。

内山氏: 同じです、そういう形で、ほかの器具もみんなそうなんですけど、インテリアの中で光がどう拡がったら居心地よい空間ができるかということを考えて、光の設計をしているわけです。そこから生まれてくる光が、インテリアベースとして、和の空間にあうとかモダンな空間にあうとかいろいろ考えながら器具全体の形を決めていきます。

Q: 全ての機能を考えて、光の設計をして上質な光を求めるというところが全ての作品に共通しているところなのですね。では、その共通した考え方をベースに、Mistyをデザインされる際に、特に気を使われた所をお聞かせ願えますか?

内山氏: 調光器がつくということはものすごく付加価値が高まるんですよ。(Enigmaには調光器はもともとついていませんが事務所でつけたのですが)調光器がついているというのは、この状態で新聞読んで食事しますよね。食事が終ってお茶を飲むときは半分にしてほしい。お酒飲むときはもっと絞ってほしいんですよ。そういう風に、調光で変えていくことによって雰囲気ってガラッと変わるんです。明るいままだと雰囲気もなにもないですよね。

ヨーロッパの人は明るいのを嫌いますから、日本ではこれは65Wなんですけど、ヨーロッパでは50Wなんですよね。それでも明るいなというくらいなんですよ。だから、自宅でもこれ(Enigma425)をテーブルに2灯つけてるんですよ。もうこれくらいの明るさまで絞って下にキャンドルをつける。そうすると、キャンドルの揺らめく灯りとこの灯りとですごくいい雰囲気になります。


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Mistyのフロスト処理。やわらかい光が美しい。
  Q: お客様も、自分の好きな形で調光器を使って演出してほしいということですね。

内山氏: それと、Mistyではアクリルのマットな素材を使っているのですけどこれは、透明なアクリルを、フロスト(※6)されているアクリルなんですよ。 フロストした光は柔らかい光が空間全体に拡がるのだが、空間全体に明るさがとれるんですよ。フロストですから、わずかな光にでも空間全体に幅拡く光が拡がる。60Wでもね。こちらは40Wなんですけど、光が拡がってなおかつ調光で落とすことができて、色々な光の質を楽しめる。

で、これを見ていただくとわかると思うんですけど、今はフロストの光がぼわっと光ってますけれども、それとグレア防止の為の金属カバーの表面と光が反射している裏側の部分のコントラストになってますよね。この白さの美しさみたいなものも演出の一つになっています。


金属カバーを使っているというところで全く光源のグレアを見せないという形になりますから、非常にグレアレスになっており、眩しくない。

Q: Mistyのバリエーションがありますが、バリエーションの展開についてはどのような点に留意されたのでしょうか?

内山氏: これは部屋の大きさ、ベッドサイドは小さいもの、リビングは大きいものを使ってもらう、その場合にちょっと光のボリュームの不足かなと思って2種類作りました。それで選ぶことができます。非常に簡単な四角い箱なのだが、奥行きが深い内容が入っている。もちろんこれ(Enigma)もそうです。

Q: Portaなど、他の作品ではいかがですか?

たとえば、MistyやEnigmaは和の空間でも合う。洋でも和でも合う。そちらにあるもの(新作Eterno)は基本的にモダン和風というイメージで考えています。

Q: 明かりにまつわるテクノロジーについてはどのような関心をお持ちですか?

内山氏: 時代の変化で、今光源としてLEDなどが使われ始めている。光源が変わってくると、それに合わせて照明器具も変わってくる。世界的な環境問題という時代の流れで、いわゆる熱効率のいいということで蛍光灯に変わってくる等もあるので時代に沿ったものを使っていかざるを得ない。

(Enigma425 のハロゲン球を例にして)昔ポールへニングセンがデザインしたときはなかった。むかしはナス球(※9)しかなかった。こういう電球(ダイクロイックハロゲン)が生まれたので小ワット数で明るさがとれ、なおかつストレートな光なのだが、拡散するためシェードを使うという考え方が生まれる。だから光源に
よってデザインがどんどん変わってくるというのはあります。

今後LEDになると小さいですから、どこまでコンパクトでどんな光が出せるかというのがテーマ。シンプルでスリムで軽くてというのは時代の要求ですから、そうなるとかなり小さい荷姿で、小さい箱に10個くらい入れて世界中に運べるようにしたい。器具もなるべくコンパクトで軽い方がいいですね。

※5: ダイクロイックハロゲン:ハロゲンを元とする電管。白熱灯に比べて効率がよく、長寿命、かつコンパクトな光源。
※6: フロスト加工、フロストアクリル:アクリルの表面に加工をし艶消しにしたもの。通常内側または外側のどちらか一面に加工する。Mistyでは内側にフロスト加工が施されている。
※7: イサム・ノグチの提灯:日系アメリカ人彫刻家、イサム・ノグチの"AKARI(あかり)"シリーズのこと。
※8: テーパー(taper):勾配、傾きのこと。立体物などが距離に比してだんだん細くなることをテーパーがついているという。
※9: ナス球:小型の白熱電球。
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柔らかい光、上質な光機能、徹底した設計と検証日本のあかりについて
   
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2008年12月更新 第5回 人と人を繋ぐ人
2008年6月更新 第4回 理想の光を求めて
2007年9月更新 第3回 木の仕事師
2007年7月更新 第2回 竹とともに生きる
2007年6月更新 第1回 守られ続ける品質
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