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2008年11月更新 DCSのクラフトマンシップ 第5回 人と人を繋ぐ旅 家具デザインを中心に活躍する村澤一晃氏
								人と人の繋がりから生まれるデザインとは。
写真 村澤 一晃 (むらさわかずてる)
1965年東京生まれ。ICSカレッジオブアーツ卒業。垂見健三デザイン事務所を経て、'89年イタリアに留学。'90 年よりセルジオ・カラトローニデザイン建築事務所(ミラノ)に勤務。家具デザイン・インテリアデザイン・展示会会場デザインを中心に担当。 '94MURASAWA DESIGN 開設。
www.murasawadesign.com
イタリアへ留学。もの作りに対するイタリアと日本の違い
ほっこりとした笑顔で登場した村澤氏。こちらもついつられて笑顔になってしまう。村澤氏のこの笑顔は人と人の壁をあっさりと取り去ってしまうのだ。

Q:インタビュア:村澤さんと家具デザインとの出会い、家具デザインを始めたいきさつをお聞かせ下さい。

村澤氏: もともと僕は学生時代から家具デザインを目指してはいたんですよ。ただ家具デザインを目指そうにも家具デザインをちゃんとやっている事務所はないんですね、日本には、そのころは。

そのとき家具デザインをやっている中でこの人につきたいって人に師事させていただいたんですけど、ほぼ同時期に学生時代にみてきたイタリア旅行の中で家具メーカーを訪ねる機会があって,向こうのものづくりが凄く素敵だったんですよ。

学生が研修旅行でイタリアの工場に見学を申し込んでいくんですけどね。そうすると家具工場をくまなく見せてくれるわけですよ。工場見学が終わって、したら中庭に案内されて、さあここでって言って、すごく大きな綺麗なテーブルにシャンパンとかが並んでたんですよ。学生が申し込んで、行って、最後にそんなシャンパンでお昼からちょっとお菓子とシャンパンでどうぞなんて言ってもらうなんて思っても見ないから、こっちは。

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上:村澤デザインのライトkogane(こがね)と椅子pino(ピノ)。
下:今回のインタビューは股旅デザイン展示期間中の平安工房(東京・神田)で行われた。

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左はDCSの松岡氏。
  Q: イタリアに行かれたのはいつごろでしたか?

村澤氏: 僕がイタリアに行ったのは1989年ですね。家具産業としては僕らの先輩が大きく広げてくださった時代ですし、決して文化的にデザインが認知されていないというわけではなかったのですが、イタリアでの、学生が工場訪問しただけで、その後にシャンパンで迎 えてくれるなんて文化は考えられなかったんです。

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村澤氏の師であるセルジオ・カラトローニ氏。
DCSでのデザインはこちら
  僕が(日本で)学生のころ見に行く展示会ってのはガチガチの家具展で、バイヤーが来ればカタログこそ渡すけど学生が行ったら見向きもしないって世界でしたから。

それで、自分がそういうショックを受けたことがある中で、最終的にイタリアに渡れて、向こうでも一回何かをしようといったときに、まあ、セルジオ(注1)のところに勤めることができたんですけどね。



帰国後の活動と出会い
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ミラノサローネでの国際照明器具見本市(ユーロルーチェ)の様子。
  Q: 1993年に日本に戻ってきた後はどのような活動をされていましたか?

村澤氏: いずれにしても家具やりたいという気持ちはぶれなかったので、向こうでいろんなことをやらせていただいている中で帰ってもう一回家具デザインをしたいとは思ったんですが、言ってみれば帰ってきてすぐ仕事なんかある訳がないんで、本当暇こいてましたねあのころは(笑)。しばらくはやることがなくて。

興味の対象としてはミラノに居たときに一番ショックを受けたミラノサローネでのユーロルーチェ(注2)だったんですよ。それまで日本の家具見本市は見たことあるし、そこそこデザインとしての家具っていうのは見てきましたけどユーロルーチェっていう照明器具の、規模に驚いたんですよ。なんでこんな凄いことやってんだろうって。照明専門の展示会ですから。照明専門の展示会が日本の家具展全部集めても足りないくらいの規模で開催されてんですね。


あとは興味があったのと帰ってきて仕事が無い時期に、暇ですからね。暇でも木工はできないんですよ、機械がないと。一番最初に何やったかというと、事務所に吊るすペンダントの照明を自分で作ったんですよ。PP(注3)を自分で折り曲げて。これシェードになるな、なんて。「なんか照明器具できたぞ・・・」そういうのを作ったのが、戻ってきて最初の自分のデザインなんですよ。

だけど、当然まだ業界のことも何にも知りませんし、でそのころ時間があったんで色んなところを巡っていく中でDCSさんを紹介して頂いて、そんときに自分が作った、自作照明の図面を持って行ったんです。「こんなこと考えているんだけど、これって照明器具として、デザインをどう思いますか」というのを相談しに行ったら、町田社長と開発の方がすごく親身になって相談に乗ってくれて、しかも試作まで作ってあげるって言われて。で作っていただいたのがPPを曲げる照明器具の試作だったんですけど。

結局、商品化には到らずに終わってしまったんですが、それが縁でDCSさんとは接点があって、それと並行しながら色んな現場に入っていくってことがキャリアとして始まってるんですけどね。


注1)セルジオ : DCSのデザイナーでもあるセルジオ・カラトローニ氏

注2)ユーロルーチェ : イタリアのミラノで隔年で開催される「国際家具見本市(ミラノサローネ)」と「国際照明器具見本市(ユーロルーチェ)」がある。日本企業やデザイナーの参加もあり、日本からも多くの人が訪れる。

注3)PP : ポリプロピレン。プラスチックの一種。柔らか目で加工がしやすいのでシェードの素材として使われる。


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イタリアへ留学。もの作りに対するイタリアと日本の違いワークショップ「股旅デザイン」DCSでの活動について
DCSの照明デザインについて  
   
特集アーカイブ
2008年12月更新 第5回 人と人を繋ぐ人
2008年6月更新 第4回 理想の光を求めて
2007年9月更新 第3回 木の仕事師
2007年7月更新 第2回 竹とともに生きる
2007年6月更新 第1回 守られ続ける品質
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