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TOPページ > DCSのクラフトマンシップ > 理想の光を求めて
 
「日本のあかり」について
昔、日本人は光に対してとても敏感であった。月明かりを大切にし、障子の和紙を通して入ってくる淡い光を愛した。
日本人の感性や日本の明かりについてお話をいただいた。

Q: これまでのお話にもヨーロッパと日本の比較が出てきました。Abovoのコンセプトにもなっている、「日本のあかり」について、先生はどのようにお考えですか?

内山様: 日本人は江戸時代、まだ電球が発明される前はいわゆる、月明かり、玉砂利にぶつけた柔らかい光や障子を通した柔らかい光など、自然光とろうそくのあかりを巧みに使い分けるという明かり文化があったんですよ。

ところが、戦後、「明るければ豊かだ」みたいな形、まあアメリカの文化ですけど蛍光灯が入ってきていて、今売上の80%以上は蛍光灯です。

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内山氏の新作Eterno(エテルノ)。行灯のようなあたたかい光だ。

本当にいわゆる白熱灯の色がきれいに見える白熱灯の使い方というのはされていない。あと、柔らかい光をうまく使うというのを忘れているというのがあるんですよ、昔、日本人というのはいい感性をもっていたんですよ。その明かり文化をもう一度よみがえらせたい。

僕もこれを(Enigma)デザインしたとき、デンマークで言われたのは日本の伝統的なものがすごく入っている(と評された)。言われてみたら、ぱたぱたとおりたためる提灯みたいですよね。でそういうのが自然と僕にもあったのかなと。ただこの柔らかい光は、イサム・ノグチの提灯(※7)と同じ、和紙を通すとも通ずるわけですよ。

Q: Grandeについてはいかがですか?

内山様: Grandeも(上記の考え方に沿って)そういう形で、行燈みたいな感じなんですけど、やわらかい光をうまくとるということで考えています。

Q: Mistyではアクリル、金属といった素材が使われていますが、Pyramideでは温もりのある木が使われています。こういった素材について考えられたことを教えてください。

内山様: やっぱり世界的に小型のペンダントは主流です。それでもって木でいままでにないものが作れないかなというテーマから生まれたのがPyramideです。

Q: 最初に「木」というテーマがあったのですね?

内山様: そうです。だから木の質感違いってのがラインナップにあるんですけど、かなり和っぽいイメージがありますね、木ですから。これを一つでなくて並べていくと面白い表情ができます。4つならべたり、使い方によっていろいろな表情ができる、そういうこともテーマとしてあります。


DCSの照明について
「DCSは素晴らしい木工技術を持っていますので、他のメーカーでは出来ないものを具現化できる」と内山氏。職人に支えられるDCSの高い技術は不可能を可能にする。

Q: 購入されるお客様に、「こんな使い方をしてほしい」ということはありますか?

内山様: Pyramideでは、実際に使われているのは商空間のバーのカウンターにずらっと並べたりされたんですよ。そういう使い方をされるかな、という意図を持ってもちろん開発しているんですけど、実際そういう形で使うのにすごく適しています。

それと、木の質感、いわゆる住宅というのは木の表情がある。その温もりの表情がなるべく出やすいようなフォルムにしてあります。木のものに関してはみんなそういうテーマでやっています。

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黒いシェードが特徴的なgrande(白いシェードもあり)。
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高い技術から生み出されるPyramide。

また、DCSは素晴らしい木工技術を持っていますので、他のメーカーでは出来ないものを具現化できる、だからこれも簡単なようですが、テーパー(※8)で角度を作るというのは出来そうで出来ないんですよ。それになおかつスリットが入っています。
空間的に抜けているところもあり、簡単そうで出来ない形なのです。

それでなおかつグレアがなくて、光の漏れの雰囲気が出るということを考えて作っています。これは私の考えですが、DCSのラインでは、デザイナは皆、そのようなことをテーマとしてやられているものが採用されていると思っています。


Q: grandeの解説もお願いします。

内山様: これは布シェードを使っています。基本的なヨーロッパのスタンドはみんな布シェードです。布シェードは下と上に明るさが出て、横の部分は柔らかい光が出来るが眩しくない。昔からあるのだが、理想の光は布シェードといえる。普通デザイナはちょっと馬鹿にしてしまうのだが、布シェードのスタンドは使ってみると最終的には一番よい。眩しくない。明るさ感はあるが、見た目にまったく眩しくない。眩しくないが、反射になるので、光は拡がる。

その布シェードのものを、現代の行灯みたいな感じで考えたものです。スタンドのバージョンでは、効率よく部品が外れるようになっており、一枚の薄い形にして輸送できる。世界に輸出する場合の輸送の点も考えてある。

なおかつ、三点で支持しており、スタンドとして倒れないようになっている。バリエーションも出来る、テーブルスタンドもある。ペンダントも大小あることによって光の拡がりの幅も変わり、入れられるワット数も変えられる。そうすると大きな光のものを柔らかい光でとるということが出来るようになる。大きさにも理由があるということですね。

Q: grandeのシェードでは白、黒とカラーのバリエーションもありますね。

内山様: ブラックというのは実際なかなか使われることは少ないが、インテリアを引き締めるという役目がある。今、世界的に黒の潮流がある。店舗、インテリアとして是非使ってもらいたいということでバリエーションに加えました。実際に黒もよく売れています。


これからの活動について
Q: これからの活動、抱負についてお聞かせください。

内山様: (たとえばEnigmaもそうだがLouisPaulsenでは)発売して30年はやめない。大体他の商品も50年のロングセラーになっている。50年後にも美しいという形で使ってもらえる、名作のような商品を目指している。

実際家でもって、名作の椅子のようにこれが非常によいということで毎日非常に好まれて何十年も使われて子供の代まで受け継がれることがあれば。ヨーロッパではそういうことを大事にしています。機能的にもよくて、喜ばれて使っていかれるものであれば、生活に密着したものですよね。それはとても価値のあることだと思います。

Q: 最後にプロの視点から見た照明の選び方、ポイントについてアドバイスがあれば教えてください。

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内山氏の手からはこれからどんな作品が生み出されていくのか。

内山様: まず、照明をぱっと全部揃えないで、一つ買って、二つ買うという風に買い足していくことですね。照明、とくにスタンドは場所を選ばないでいろんなところに置けるんですよ。ですから自分で工夫していろんな場所においてみる。だから、スタンドでもって練習してみて、明かりを知ってくると、次にもう一つ
こういうものを足したい、というのが出てくるので、5人集まるようなリビングダイニングであれば5個くらい照明があればいいと思います。

あと部屋の隅になるべく置いてもらうということですね。部屋の隅が明るくなると奥行きが出る、ソファーやインテリアに質感が生まれる。明るいところと暗いところのグラデーションがあると、部屋に奥行きが生まれる部屋全部を明るくするのではなく、ポイントポイントにそういうものを作っていくとすごくいい明かりが生まれます。

 

現代では明るすぎる室内の明かり。氏のインタビューを通して光に対する考えが変わった。人は光とともに生きている。光をコントロールできるようになった現代は、そのことを忘れてしまう。便利なようで実は不快な状況を作り出してしまっている場合もある。

谷崎潤一郎が「陰影礼讃」の中で、次のように語っている。
「漆器というと、野暮くさい、雅味のないものにされてしまっているが、それは一つには、採光や照明の設備がもたらした明るさのせいではないであろうか。事実、「闇」を条件に入れなければ漆器の美しさは考えられないと云っていい。」

このように明るさのせいで失われてしまった美しさもあるだろう。
光も美も生きていくのにとても大切で必要なものなのだ。そのことを忘れたくはない。

2008年6月更新

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柔らかい光、上質な光機能、徹底した設計と検証日本のあかりについて
   
特集アーカイブ
2008年12月更新 第5回 人と人を繋ぐ人
2008年6月更新 第4回 理想の光を求めて
2007年9月更新 第3回 木の仕事師
2007年7月更新 第2回 竹とともに生きる
2007年6月更新 第1回 守られ続ける品質
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